打っても響かない
さきほど帰宅。恐る恐る体重計に乗ってみると60kgジャスト。
ホッ。今日は飲み会で6時間ほど居酒屋にいたが食べる方はある程度節制して飲み中心にしたので体重は極端に増えていなかったようだ。ちなみに今日は某スクールにて臨時の先生をしてきたのだがスクール側のはからいでお疲れさんの飲み会を開いていただいた。いろいろと積もる話もあり結構長時間に渡り飲んでしまった。この場を借りてお礼を言わせていただきたい。>Oさん、Tさん
ちなみにどういう授業内容かと言うと、まずドラム志望の生徒さんを相手に実技を交えながら1時間ほどレクチャーを行い、その後は課題曲をアンサンブルでバンド形式の演奏を体験させるというカリキュラムである。課題曲は我々の世代にはお馴染みの超有名な曲。
今日の俺の生徒はH君という男の子一人。このご時世ドラマー志望は非常に希少な存在である。彼はまだドラムを始めて1年ほどにもかかわらずなかなかリズムキープが良い。個人で叩いた時だけでなくアンサンブルで叩いた時もあまりヨレることなくしっかり叩けていた。あとは個々の楽器の音量バランスが良くなればもっともっと良いドラマーになると感じた。なかなか先行き明るい生徒さんである。
ただこのH君を教えるにあたって出だしで早速つまづいた。全然会話をしてくれないのである。
「好きなドラマーは?」
「・・・」
「普段どんな音楽聴いてるの?」
「・・・」
「今バンドとかやってるの?」
「・・・」
いや、もちろん緊張も手伝って口数が少なくなってしまったこともあるのだろうが、それにしてもこちらの質問にほとんど答えてくれない。あまりに反応が薄いので「俺何か気に障る事でも言った(orやった)かな」と自分を責めてしまったくらいだ。(^^)
やっとのことでドラム歴や「今はバンド活動はほとんどしていないこと」やどんな曲をコピーしたことがあるかなどを聞き出す事が出来たが、たったそれだけのことをするのにも一苦労であった。
加えて印象的だったのがドラムを叩いている間も終始感情を表に出さないこと。自分がもしドラムセットを目の前にして好きに叩いて良い状況であったら自然と顔がほころんでしまうだろう。けれど彼はそれほど楽しそうにも見えない。というかそもそも音楽自体興味があるようには(少なくとも表面上は)見えない。
結局
「彼は本当に音楽(ドラム)が好きなんだろうか」
という疑問がずっとアタマの中に渦巻いたまま授業を進めることとなった。
そんな釈然としない思いを引きずったまま2限目のアンサンブルの授業に突入したのだがそこで疑問は解けた。
アンサンブルを行うメンバーはキーボードとベースが講師の先生、ギターは4人の生徒が入れ替わり演奏。ドラムは受講生がH君一人のため彼がずっと叩き続けることとなった。
アンサンブル最初の演奏。H君、表情は相変わらず硬い。ギタリストがチェンジして同じ曲を再度演奏。H君の表情は変わらない。俺は彼の傍らに常に付き添っていて演奏が終わるたびにワンポイントアドバイスを与える。そして彼の緊張をほぐそうと褒めまくる。(笑)
そんなこんなでギタリストA、B、C、D全員が演奏し終わり、2周目に突入。H君、このあたりからあまり譜面にとらわれずちょっとずつ自由に叩きだす。そして最後のギタリストDの演奏が終わり、ジャーンと曲をシメるときH君の口元がほんの少しではあったがキュッと上がったことを俺は見逃さなかった。そう、彼はわずかではあったが笑ったのである。
やっぱりH君も楽しかったのだ。
それを確認出来ただけでもアンサンブルの授業をした甲斐があった。
それにしても…
「楽しい」とか「うれしい」という感情を極端に表に出さないことはH君に限らず最近の若者のスタイルなのだろうか?それともそういった感情の起伏の揺れ幅が俺たちの世代よりも少なくなってしまったのだろうか。これは以前別のスクールで教えていた時も感じたことなのだが生徒がおしなべて音楽に対して「無気力」「無関心」に見えてしまうのだ。
自ら音楽学校に進む道を選択したくらいなのだから音楽が嫌いだったり興味がないという事はまさかないだろう。だとしたらもっとギラギラと貪欲に音楽に取り組む姿勢を表に出して先生を質問攻めにするくらいでいいのに、なんかもったいないなと思った今日の授業であった。