払う?払わない?
NHKの受信料を徴収に来る人はよく
「テレビを持っている人はみなNHKの受信料を払わなければならない。そういう決まりになっている」
という説明をすると聞きます。
徴収員が本当にこのような説明をするかどうかは定かではありませんが(そういった説明をすると仮定して)果たしてこの説明は正しいのかを考えてみました。
以下はWikiで調べた結果です。
まずは「放送」とはそもそもなんなのかを知らなければなりません。というわけで「放送」の定義を。
「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信(中略)の送信(中略)をいう。
※この場合の電気通信とは「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」です。
次にNHKの受信料徴収の根拠となっている法律を調べてみたところ、放送法第64条というのがそれにあたることが分かりました。
◆放送法第64条
協会(←NHKのこと)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(中略)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
ふむ。
まず注目すべきは「受信についての契約をしなければならない」とあるけれど「料金を払わなければならない」とは書いてないという点。
さらにただし書きを読むと
「放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(中略)については、この限りではない」
と、ある点。
テレビを買ったら自動的にNHKの料金を払う義務が発生するというのは勝手な思い込みというか誤解のようです。っていうか冷静に考えればそんな国家怖い(笑)。
ちゃんと契約を結んでその後に料金支払いの義務が発生するという通常の契約と同じ流れですね。
ただ、NHKの理屈とすれば通常はテレビってのは放送を見るために買うわけだから、
テレビを買って家に置く
=契約する
=受信料払う
ってことだろ、と。
だから途中を端折って「テレビを買ったら受信料を払わなければならない」みたいなロジックになるのかも知れません。
とは言え現在はビデオやDVDの再生用とかゲームをやるためのモニターとして『のみ』テレビを活用している人もいるわけで、そういう人達はただし書きにもあったように「放送の受信を目的としない受信設備」としてテレビを持っているわけですからそういう人に契約を強要したらやり過ぎということになりますね。
そういえば一人暮らしをしていた時、テレビは持っていたんだけどアンテナはつながず完全にビデオ再生用として使っていた時期がありました。
ある日、NHKの料金徴収の人が来て「料金を払ってください」と言うので状況を話して「どうぞ、家にあがって確かめてください」と言ったら引き下がって帰って行ったことがあります。
彼はきちんとルールにのっとって対応してくれたわけですね。
さて、放送法第64条の続きは以下の通りです。
協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前三項の規定を適用する。
下の二つの段落は我々には直接関係ないので最初の段落を。
「契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」とあります。「免除してはならない」ということですから「契約を結んだら料金をきっちり払わせるんだぞ」ということになります。
NHKが契約を結んだ人に対して執拗に料金の支払いを求めるのも、実はきまりだから仕方なくやっているんですね(棒読み)。
ただし一度契約を結んでしまったらいくら「俺はNHKを見ないから料金は払わない」と言い張ってもダメです。裁判で争っても負けます(実際最高裁まで行って負けてます)。
契約を結んだ人はおとなしく払った方がよさそうです。
もしどうしてもNHKの料金でゴネたい人(笑)は、とにかく「契約をしないこと」です。あくまで契約ですから結びたくない人に対して無理やりハンコを押させるようなことは出来ないと思います。
ま、この辺りは放送法と民放のせめぎ合いの部分もありまして、NHKの受信契約に関しては放送法の方が優先されるんだと言う人もいます。
ちなみに「もう受信料払っちゃっているよ〜」という人は解約すればいいですね。契約なんでもちろん解約できます。規約では以下のようになっています。
◆日本放送協会放送受信規約第9条
放送受信契約者が受信機を廃止すること等により、放送受信契約を要しないこととなったときは、直ちに、次の事項を放送局に届け出なければならない。
(1)放送受信契約者の氏名および住所
(2)放送受信契約を要しないこととなる受信機の数
(3)受信機を住所以外の場所に設置していた場合はその場所
(4)放送受信契約を要しないこととなった事由
2 NHKにおいて前項各号に掲げる事項に該当する事実を確認できたときは、放送受信契約は、前項の届け出があった日に解約されたものとする。ただし、放送受信契約者が非常災害により前項の届け出をすることができなかったものと認めるときは、当該非常災害の発生の日に解約されたものとすることがある。
3 NHKは、第1項の届け出の内容に虚偽があることが判明した場合、届け出時に遡り、放送受信契約は解約されないものとすることができる
「受信機を廃止」というのは不思議な言い回しですよね。廃棄だったら捨てるんだなということが分かりますが、廃止というのはどういうニュアンスでしょうか。
おそらくテレビが放送を受信できない状態であればいいんでしょうから、壊れていなくてもアンテナを外してあったりすれば要件は満たすと思います。
結論としては、テレビで放送が受信できないことを連絡して、それをNHKが嘘ではないと確認できたら解約できる、と。
たださぁ…
こんな細かい法律の解釈論でもめるくらいだったら
早いとこスクランブルかけろよ。
それで一発で解消でしょう?
WOWOWやスカパーではやってますよ。
技術的にNHKが出来ない理由はないですよね。
この間のアナログからデジタルへの切り替えの時に一緒にやっちゃえばよかったのに。技術的に出来るけれどやらない裏にはいろいろと理由はあるのでしょう。
確かにスクランブルをかけて料金を払っている世帯だけが視聴可能という状況になったら確実に減収にはなるでしょう。これまで「NHKは見ないけど言われるがままに渋々料金を払ってきた層」からは料金を徴収出来なくなります。
けれどそういう対応をすることによって料金徴収のために無駄な人件費をかけずに済むようになるんだから悪いことばかりではないと思うんですけどね。徴収員で食っていた人は職を失うのでお気の毒かも知れませんが、それは世の中の流れだしまた別の話です。
放送法が出来てからもう何年経つんでしょうか。
時代は大きく変わり、放送をとりまく環境も我々のライフスタイルも劇的に変わりました。法律が作られた時には想像もしていなかった機器を想像もしていなかったやり方で日々使っています。
もう細かい解釈で無理やりこの法律を運用するのも限界だと感じます。現在の状況に即して法律自体も根本から変える必要があるんじゃないでしょうかね。
■追記
インターネットは、放送法第2条第1項により放送に該当する。
また、NHKがコンテンツ配信サーバーを設置する事で、インターネットに接続されているコンピュータは放送法第64条第1項により協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した事になる。
これらを法的根拠にし、インターネットも含めて総合受信料として受信者に対する契約義務化が検討されている。
だそうです。ネットで見かけた文ですが、これ本当だとしたら乱暴を通り越して横暴ですね。
普通にインターネットでサイトを閲覧していた人が、ある日突然NHKから「サーバ立ててコンテンツを配信出来るようになったんで料金支払ってください」っていうことも可能になりません?(笑)
放送はスクランブルで会員のみ視聴可にして、ネットのコンテンツはIDとパスワードで管理して課金制で閲覧させるという当たり前の形にすればいいじゃない。