良いドラマーになるためのブログ

【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

ドラムレッスン

※今回はドラマーでないと分からないネタです


昨日はお世話になった方の息子さんのドラムレッスンを地元のスタジオで実施。


彼に会うのは小学校低学年の時以来だったけれど、高校二年生になってもとっても可愛かったです。グレずによくまっすぐ育ってくれたね^^


まずはマクドナルドで事前打ち合わせ。


彼の現在の状態、状況や好み、要望などをヒアリングし、こちらの練習方針を説明します。こういう作業って意外と大事。いきなりスタジオに入ったりすると後で「あれ?こんなはずでは」みたいなことが起こるので。


情報収集が終わった後スタジオへ移動。


スタジオに入ったらセッティングに関する部分からレクチャー開始。


本来であればスティックワークなどから入るべきなのかも知れませんが、なにせアマチュアの人はセッティングに本当に無頓着過ぎなもので。


イスの高さ、座る位置
スネアの高さ、角度
ハイハットの高さ、開き具合
タムの位置、角度


などを決める際どういう点に注意してセッティングすべきかを説明しましました。


もちろん簡単に言えば「好み」なんですが、初心者のうちはまだその好みが固まっていない状態。その状態でおかしなセッティングに慣れてしまうと、その後の上達に悪影響を及ぼすので最低限まともなセッティングが組めるようアドバイスしました。


次にスティックワーク。あえて細かいことは指示せずにシングルストロークをチェック。リスト(手首)で打ってと指示したのに「腕」で打ってしまっている。初心者には本当に多い症状です。


演奏を動画に撮ったりしてアドバイスを与えた後、再度同じプレイをさせるとグリップが自然とジャーマングリップに変わっていました。(元々彼のグリップはフレンチ)


リバウンドを手首で捉えようとすれば自然とグリップはジャーマンになります。私は一応初心者にはどちらかと言えばジャーマングリップを最初に教えるようにしています。


フレンチは最初は難しいんですよ。手首をこねてしまって、親指が上なのに手首の動きがジャーマンという人をよく見かけます。ストロークの軌道がグルグル回っちゃうタイプね。


だったら最初からジャーマンをやらせた方がいいかな、と。


彼の場合ジャーマンを教えたらスティックの軌道がきれいになって、音色も良くなりました。またストローク幅も広がりダイナミックになりました。左手はまだ腕打ちですが慣れてくれば手首が徐々に使えるようになります。そこは反復練習でクリアするように指示。


次はフットワークのレクチャー。


まず普通にバスドラムのペダルを踏んでもらいます。案の定、初心者がほぼ100%間違えるポイントで間違えています。最初のうちはどうしても太ももの力で足を持ち上げてペダルを筋力で踏み込む形になってしまいますが、これだと長時間演奏したり、早い音符を演奏したりは出来ません。


この症状を改善するためにはいつも「縄跳びの時の足首の動き」をイメージしてもらっています。


縄跳びの時って太ももの力を使ってジャンプをしているわけではありませんよね。あくまでエネルギーの起点となるのは足首付近です。カカトが上がって最終的につま先の方が地面から離れます。着地の時は逆につま先の方から接地して、カカトが後から下りて来ます。この動きをバスドラムを踏む時に上手く取り入れるように教えるようにしています。ま、実際やるのは難しいんですけどね。


あとはカカトの上下動を意識させるためにペダルの上に足を乗せて、カカトだけを動かす練習をさせます。なるべく大きく動かします。動かしているとそのうち、バスドラムが予期せぬところでドンっと鳴ったりします。さらにこの動きを続けるとドンっと鳴る回数、音量がアップしてきます。


こういうプロセスを通して「力で鳴らすのではなく正しい奏法を身につけた結果『自然に鳴るもの』なのだ」ということを理解してもらいます。これは今教えている小学生も短時間で出来るようになったので、結構効果的な練習だと自負しています。


最後はハイハットのダウンアップ奏法。


これはテンポの早い8ビートや細かい16ビートハイハットで刻むには必須の奏法でこれなくしては良いドラマーには絶対になれないと思っています。


基本原理、原則を説明し実際に叩いてもらったところ、結構飲み込みがよくてそこそこ形になりました。ただここでも初心者が陥りがちな罠に彼もハマっていました。


ダウンアップの肝は確かに手首の使い方なんですが、手首にだけ意識が行き過ぎて肝心の腕がほとんど使えていません。


あくまで腕の大きな動きがあって、その先の手首の動きにつながる感じで、全体で一本の鞭のようにしなるイメージです。手首だけをカクカク動かしてもダウンアップ奏法にはなりません。専門学校で教えている時も手首が動きの起点になってしまっている学生を何人も見ましたが、腕(肩から先全体、もしくは肘から先)を使うのがポイントです。


またアップの際は(私の場合は)ほとんど打つという意識はないです。ダウンでアクセントを打った後、アップに移行する時に腕を持ち上げますが、その際手首をリラックスさせるとスティックの重量で手首がカクッと曲がります。その動きでスティックがハイハットに軽く当たって音が鳴る感じです。(デイヴ・ウェックルもこういう打ち方をしていました)


これによりアクセントのある音と無い音の音量差が非常に大きくなりメリハリのあるプレイになります。


ってなことを動画を撮りながら教えていたら2時間があっという間に経ってしまいました。


ちなみに彼はいわゆる勘が良いタイプで教えるとなんとなくすぐに形に出来る子なので教えていて非常に楽でしたね。


次回のレッスンはまだ未定ですが、どれだけ成長しているか今から楽しみです^^