良いドラマーになるためのブログ

【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

グリップの話

ドラムを叩く時のスティックのグリップについてお話しします。


練習の時はマッチドグリップでアメリカングリップに近い持ち方がメインです。ただそればかりだと応用が利かなくなってしまうので適宜フレンチやジャーマンも織り交ぜながらやっています。


ちょっと前まではレギュラーグリップでほとんど練習をしていたのですが(それにはちょっとした狙いがあったもので)現在はまたマッチド中心の練習に切り替えてやっています。


スティックをホールドする際の支点は親指と中指の第二関節あたりです。人差し指はゆったりと伸ばして軽くスティックに触れる程度。薬指と小指は曲げて優しくスティックを包み込むような感じ。


この持ち方だとあまり力まずに持てるため、スティックが自然と跳ね返る感覚が上手く捉えられて楽に叩けます。またスティックがミュートされないのでスティック自体が明るいコーンというサウンドで鳴ってくれます。


今日のストローク練習は途中から気分を変えて人差し指支点でやってみました。ちょっと感覚が変わって面白かったです。これはこれでスピードが出るので好きなグリップです。


曲でプレイしている時は自然と中指になったり人差し指になったり無意識のうちに支点を切り替えている感じです。


アマチュアの人を見ていて「直した方がいいのに」と思うのは一つのグリップでなんでも叩こうとしてしまうこと。


例えばジャーマングリップの人がフロアタムで8分音符を刻むようなパターンを叩く時もそのままジャーマンで押し通そうとするケースを本当によく見かけます。


体の右側にあるフロアタムをそのまま手の甲を上にしてジャーマングリップで叩いたら相当手首に負担がかかります。親指を上にするだけで楽に叩けるのに。ライドシンバルのレガートなんかも同様ですね。


逆にライドのカップとかは親指が上のフォームよりも手の甲が上を向くフォームで叩いてあげた方がハズす確率が低くなります。


上手い人はプレイの中で適宜グリップの形やスティックを握る圧力を変化させています。もちろんそれらは意識して変えているわけではなく無意識にやっています。


一つの持ち方を極めるのもいいと思いますが、ドラムセット全体をプレイすることを考えるとやはり複数のグリップを並行して普段から練習しておくのがいいと思います。


もちろん自分のメインのグリップはあっても良いのですが、それ以外のグリップになったら途端に叩けないということのないようにしておくことは大事です。


グリップとかフォームとかっていうのはこれが正解というのはありません。その時の自分のやりたい音楽とか気持ちとかによって欲しいサウンドは変わってきますから、それに合わせて自分の中の理想のグリップも変わります。


あとは自分の体型の変化や体調に合わせてグリップやフォームを変えることを余儀なくされることもあります。


ゴールは無いのでどこまでやり込んでも「これで俺のグリップは完成した!」ということはありません。奥の深い世界ですが、練習を積み重ねて自分の理想に徐々に近づいてくる感覚はとても楽しいです。


私は20代の頃に比べると格段に緩く握るようになりました。20代の頃は今よりも力(ちから)で叩く割合が高くてグリップも自然としっかり握るフォームになっていたように思います。


その後紆余曲折を経て体力の衰えもあり(笑)徐々に緩く握るようになってきましたが、不思議と音量はそれほど落ちていないかむしろ上がっているように思います。


おそらくタイコを鳴らす技術が向上して以前よりも少ない力でスティックを振り抜くスキルがアップしたからだと思います。


ただ現段階でもまだ自分の理想には程遠いのでこれからも精進していきたいと思います。