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【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

私のスタンス2(今話題のアノ話)

美味しんぼの鼻血騒動が国会議員まで巻き込むエラい騒動になっておりますが、なんというか日本って平和だな〜(笑)。

私は美味しんぼの今回の福島シリーズについては否定的なスタンスです。ネットにアップされたページしか目を通していませんが、それだけでもいろいろと首をかしげるような描写が多いです。


この漫画を読むにあたって気を付けたいのは

ある人にとっての事実があたかも全ての人に当てはまる事実であるかのように誤認しない

個人的な意見や見解を『事実』と認定してしまわないようにする

ということ。


元町長さんが「福島の事故後に鼻血が頻繁に出るようになったこと」は事実なのでしょう。「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」のも元町長にとっては事実かも知れません。

ですがその原因が「被ばくしたから」というのは個人的な意見であり科学的に裏付けの取れた事実ではありません。何か悪いことが起きた時に「祟りじゃ」と言っているのと同じレベルの話です。

また漫画の中で学者らしき人が出てきてもっともらしい「鼻血が出る仕組み」を説明していますが、それもその人の意見であり仮説であり、ご本人も「医学界に異論はありますが」と前置きをつけて述べているように証明された事実ではありません。

「そうか、それで鼻の粘膜の細胞が壊れて鼻血が出るんだ」というのも、上の学者さんの説明を聞いて山岡士郎が発した感想であり、事実というわけではありません。

「もう取り返しのつかないまでに汚染された」発言をした荒木田准教授にしても「と私は判断しています」というセリフ付きです。「もう取り返しのつかないまでに汚染されました」ではありません。あくまで彼の発言は彼の個人的見解ですし、福島大もそうアナウンスしています。


要するにこの作品は原作者の雁屋氏が取材した中で拾った『彼の中での事実』を漫画として表現したものであり、それ以上でもそれ以下でもないということは押さえておきたいポイントです。

ただ、漫画とは言え実存する人物にセリフとして語らせているので、これを読んだ人の中には「こ、これが真相なのかっ?!」と真に受けてしまう人も一定数いるでしょう。

私は「3年も経っていまさら鼻血ネタ?」と思うのですが、「9.11テロは米国の自作自演だった?!」「ナチスによるホロコーストは無かった?!」のようなトンデモ言説ですら信じてしまう人はいますのでそれは仕方のないことなのかも知れません。


■追記
この手の問題でしばしば学者さんがコメントをしますが彼らの肩書に注目してみてください。

我々は学者というとみんな幅広く物事が分かっているような印象を持ちますが、実際は自分の扱う専門分野のスペシャリストです。専門というのはかなり細分化しており、他の分野のことはさっぱり分からないという人も珍しくありません。

※被曝の人体への影響に関して一番詳しいのは日頃マウスに放射線を当てて実験したりしている生物学者さんあたりでしょうか。

「今の福島に住んではいけない」と発言した荒木田准教授の専門は行政政策学類です。過去の経歴を見ても放射線とは無縁の世界の人です。当然その知識や情報などは専門家に相当劣るでしょう。下手をすればネットでしっかりと情報収集している素人にも負けるかも知れません。

「福島大」「准教授」という肩書だけを見るとなんとなく信憑性があるような気がしてしまいますが、実際は専門外のことについて個人的な意見を述べている別の分野の専門家というだけのことです。

なおテレビのコメンテイターとしてお馴染みの学者さんや弁護士さんは(本業の肩書はともかく)テレビに出ている時は「タレントさん」です。(有名どころでは武田邦彦しぇんしぇ(笑))

当然自分の立ち位置というものを理解した上で視聴者受けやスタッフ受けを考えながら喋るので発言にはかなり色がついているため、こちらも真に受けず話半分に聞いておく、くらいで丁度良いです。