やってはいけない練習
スポーツでも楽器でもやってはいけない練習があります。
それは…
「技術練習と体力トレーニングを同時にやること」
です。
技術練習は文字通り技術面でのスキルを上げるための練習です。体力トレーニングはいわゆる筋トレなどで体を鍛えることです。
これを同時に出来たら非常に効率的ですよね。
ですが人間の体はそんなに都合良く出来ていません。技術面と体力面のトレーニングは別々にやるべきものなのです。
■やってはいけない理由(1)-過負荷
例えば野球のピッチャーが「もっと速い球を投げるために肩を鍛えたい」と言って砲丸投げ用の鉄の玉を持って、思い切り投げたらどうなるでしょうか。
肩を鍛えるどころかすぐに肩を壊してしまいます。野球のフォームで砲丸を投げることは肩の筋肉にとっては負荷が大き過ぎるのです。
「大きい音を出したいから手首を鍛えよう」といってアホみたいに重たいスティックを使って練習する…
どういう結果が待っているか、もうお分かりですね。
スティックを一振りする動作の中にも小さな筋肉から大きな筋肉まで様々な筋肉が関与しています。重過ぎるスティックで練習すると小さな筋肉に無理な負荷がかかってそこを痛めてしまうのです。
そもそも大きい音を出したいのなら技術をアップするのが一番の近道だし王道。どうしても筋トレをやりたいのであればドラムの練習とは別にジムなどに通って正しい筋トレ方法を学んで鍛えてください。
くれぐれも「ドラムを叩きながら筋肉も鍛えよう」などとおかしな一石二鳥を考えないように。
腱鞘炎になって、それが長引きドラムを断念する、などという悲しい結果になったら本末転倒です。
■やってはいけない理由(2)-集中力の欠如
空気イスってありますよね。壁に背中を付けてイスに座ったような状態の姿勢を取るアレです。あれは非常に太ももが疲れます。
あの状態で勉強しなさいと言われたらどうでしょう。足の疲労にばかり意識が行ってしまって問題を解くどころの話ではないですよね。
ドラムの練習も同じです。
技術を習得する時には非常に高い集中力が必要とされます。ですから出来るだけ余計な負荷がかからない状態で練習することを心掛けなければなりません。
もしそんな時にアホみたいに重たいスティックで技術練習をしたらどうなるでしょうか。
必要なテクニックを習得する前に腕が疲れてきてしまって、「腕がしんどい…」と意識が腕の疲労に向いてしまい結果として注意力が散漫な状態で練習することになり、満足な結果は得られなくなってしまいます。
■やってはいけない理由(3)-悪いクセ
50gのスティックをコントロールするためのフォームと500gのスティックをコントロールするためのフォームは全く異なります。(実際は500gのスティックなど演奏では使いませんが)
手首を鍛えようとして500gのスティックで日ごろ練習していたらそれ用のフォームが体に染みついてしまい、そのまま50gのスティックを使おうとすると違和感を感じて上手くコントロール出来ません。
技術練習はとにかく余計な負荷をかけずに行うことが大切ですので、出来るだけ本番と同じ状態でやるようにしましょう。練習の時も普段使っているスティックで練習することをおススメします。