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良いドラマーになるためのブログ

【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

好きなドラマー(6) ~Dave Weckl~

■好きになったきっかけ
大学時代にチックコリア・エレクトリックバンドを聞いたのがきっかけ。あのバンドは本当に衝撃的だった。特に1stアルバムはエレクトリックで機械っぽい部分を前面に押し出したサウンドになっていて、シーケンサーとガッチリとシンクした機械のような正確な演奏をするウェックルのプレイが見事にハマッていた。

アルバムの1曲目から心をつかまれて、ファンになったがカシオペアよりコピーの難易度が高く(演奏の自由度が高かったので)、コピーしまくるというよりはウェックルのカッコいい部分を自分なりにチョイスしてそのエッセンスを自分のドラミングに取り入れていったという感じ。


■プレイ分析 ~グルーブ編~
ウェックルのプレイについて語るためには「進化前」と「進化後」に分ける必要がある。

90年代前半の進化前はタイトでやや硬めなビートを叩いていた。チック・コリアのバンドではそれがピッタリハマっていたわけだが、それを「グルーブが無い」と揶揄する人も若干いた。ただあのようなプレイが出来る人が他にいたかと言えばやはり思いつかないし、なによりチック・コリアに認められてバンドのドラマーを任されていたことが彼のグルーブの素晴らしさを物語っている。

進化後はフォームからしてガラッと変わっており、かなりしなやかで柔らかいフォームへと変貌した。それに伴ってサウンドもよりオープンで広がりのある音色へと変わった(もちろん使用機材の影響もある)。プレイ自体はタイトだが硬さはなく完璧度合にますます磨きがかかった印象がある。

ウェックルは高度なテクニックを用いたインスト音楽を得意としており、ドラムパターンもシンプルなパターンはほとんど出てこない。二つのハイハットツインペダルを駆使した独特の、それでいてセンスを感じさせるカッコいいパターンを常に聞かせてくれる。パターンをコピーするだけでもかなりの勉強になる。


■プレイ分析 ~フレーズ編~
ウェックルは素晴らしいテクニックの持ち主だが、シングルストロークの速さや派手なツーバスパターンなどで押すプレイヤーではなく、あくまでセンスの良さで魅了するタイプ。

とにかくスネア、タム、バスドラ、シンバルの組み合わせ系のフレーズのセンスがずば抜けて素晴らしくどれもカッコよくてコピーしたくなるフレーズばかり。

組み合わせ系の先駆者としてはスティーブ・ガッドが存在するが、ウェックルはそれをさらに進化させた印象。

フレーズは多彩だが手クセも非常に多く、ソロでもいつもお馴染みのフレーズが出てくるあたりもガッドに似ている(もちろんサウンドの質感は全くの別物)。

面白いのは進化前に多用していた手クセフレーズを進化後はほぼ完全に封印して出さなくなったこと。

・手クセフレーズ1(進化前)
RLRLrrRLL(12タム2発、14タム2発、バスドラ2発、14タム1発、スネア2発)
※最後のスネアはゴースト気味に

6連符+3連符の3拍フレーズとして叩く。このフレーズは進化前はもうこれでもかというほど出てきたが今は一切やらなくなった。

・手クセフレーズ2(進化前)
「rL・R・L」という手順。
※小文字の「r」は前打音(装飾音符)

16分音符の3つ割りフレーズ。アタマのフラムは右手は12タム、左手は10タムを叩く。残りのRLはスネアへ移動。慣れないとこの移動は結構大変。

このフレーズは今もたまにやるかも知れない。


・手クセフレーズ1(進化後)
RlLr(右手、左足、左手、右足)という順番の連打

16分音符や3連符解釈でソロの中で多用する

・手クセフレーズ2(進化後)
(RL)・rlr(両手+足を右左右)

タン・ダダダで3拍フレーズとして使用。足のパターンは推測(私ならこう叩く)。両手はスネアとシンバル、タムとシンバルなど変化させる。

・手クセフレーズ3(進化後)
RrRrRrRr(右手・右足)

右手・右足の高速オルタネート。ソロの中でよく披露するが速さがハンパない。力哉さんがやるのと同じフレーズだが質感が本当に全く別物というくらい違うのも面白い。


■プレイ分析 ~セッティング~
進化前はガッドとほぼ同じ10,12,14,16というタムの構成。バスドラムの上に2タム、右サイドに2タムをセット。フロアタムは使わない。ヤマハのセットにクリアのヘッドを張っていて倍音はそれほど多くないチューニング(それがエレクトリックバンドには合っていた)。

右手側(ライドシンバルのそば)にクローズドハイハットをセッティングするのがウェックルの特徴で、このツインハイハットを使用したフレーズやパターンは本当にカッコよくて世界中のフュージョン小僧がツインハイハットに憧れたものだ。

進化後は10タム、12タムが左にずれ、12タムがあったところにライドシンバルが配置された。ヘッドもコーテッドにチェンジ。サウンドもよりナチュラルな音色に変わった。

クローズドハイハットは健在だが、以前よりもクラッチを緩く締めるようになってサウンドも以前のようなタイトなサウンドではなくなっている。

※ウェックルのサイトをチェックしたらタムの位置が以前の位置にセットされているPHXのキットの写真があった。また戻したのかも知れない。


■最後に
現在はトニー・ロイスターJr.に代表されるような超高速シングルストロークを売りにしているドラマー、マイク・マンジーニやヴァージル・ドナティなど超絶複雑プレイを売りにしているドラマーなどがおり、さすがのウェックルもその点だけを比べてしまえば彼らには見劣りがする。

だがそもそもウェックルはそういう分野やそういう要素で勝負する気はさらさらなく、あくまでも自分が一番得意とする音楽で最高のプレイを提供する道をひたすら突き進んでいる。

ウェックルのソロは見ていて(聴いていて)本当に心地良い。超絶的に難しいことをやってビックリさせるソロ、聴衆を圧倒するソロをやる人は多いが、難しいソロをやっているのに音楽的で気持ち良く聴ける。そんなプレイヤーは世界広しと言えども数えるほどしかいない。

やっぱりウェックルは自分にとっては別格級に大好きなドラマーの一人だ。