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【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

「ヒールダウン奏法」練習の意味

バスドラムのフットペダルを踏む時、私が見て来た生徒さんはほぼ全員がヒールアップ奏法を使っていました。実際ここを読んでいる方も「メインの奏法はヒールアップだ」「ヒールアップしか使わない」という人がほとんどではないでしょうか。

それでもヒールダウン奏法を日頃の練習に取り入れることをオススメしたいんですね。

 

なぜか。

 

もちろんヒールダウン奏法そのものを使えるようにするため、という理由もありますが、それ以外にもいろいろと利点があるのです。


1.足首の感覚を鍛える

初心者のヒールアップ奏法で間違いやすいのは足を一本の棒のように使ってしまうこと。太ももの筋肉の力で足を持ち上げて丸太のようにドンと落とし踏みつける奏法です。

これは単発なら辛うじて対応出来ますが、連打になったらもうお手上げ。さらに足を持ち上げる時に体の重心のバランスが崩れるので体の軸がブレてしまいリズムもヨレヨレ、見た目も非常に危なっかしいことになります。

ヒールアップ奏法においても実は足首の動きはとても重要なのですが、ヒールアップだけ練習していると足首を使わなくても打ててしまうため、なかなか足首を使うクセを付けられません。

その点ヒールダウン奏法では足首を動かさなければフットペダルを操作出来ないためヒールダウンの練習をしているだけで強制的に足首を使うことになり自然と足首を使った奏法が習得出来るわけです。


2.リバウンドの感覚をつかみやすい

ヒールダウン奏法ですとオープン奏法(※)がとてもやりやすいです。

※オープン奏法とは打ち終わりでビーターをヘッドからすぐに離す奏法のこと

ヒールアップ奏法でプレイする人のほとんどが打ち終わりでビーターをヘッドにくっつけるクローズ奏法で演奏していると思います。(私もクローズ奏法が音色的に好きです)

ただクローズ奏法だと「打つ」という意識が強くなり過ぎて、連打の時などに「打つ」「打つ」「打つ」となりがちです。

※実際は「打つ」→ビーターを離す→「打つ」→ビーターを離す→「打つ」でなければスムーズに連打は打てません。

その点ヒールダウン奏法だとこの「打ち終わりでビーターをすぐにヘッドから離す感覚」をつかみやすいのです。

ヒールダウン奏法はかかとで重心を支えることが出来るためビーターがヘッドにくっついていようが離れていようが体のバランスが崩れません。

ヒールダウンでオープン奏法でバスドラムを鳴らす練習をしていると自然と足のウラでビーターのリバウンドの感覚を捉えられるようになります。その感覚を覚えてからヒールアップで連打をしてみると以前よりずっと楽に連打が出来ることに気付くでしょう。


3.スネの筋肉を鍛える

バスドラムのフットペダルを操作するにはスネの筋肉がとても重要で(注)この筋肉が鍛えられていることはヒールダウン、ヒールアップどちらの奏法にも大きなメリットをもたらします。

ただ1.でも書いたようにヒールアップ奏法ですとスネの筋肉を使わず太ももの筋肉を使ってバスドラムを鳴らすことが出来てしまいます。そのような間違った踏み方ではいつまで経っても肝心のスネの筋肉が鍛えられません。

そこでヒールダウン奏法でスネの筋肉を強制的に動かすことにより集中的に鍛えるわけです。スネの筋肉が鍛えられると連打や細かいフレーズを長時間続けても音量が下がらず安定したプレイが出来るようになります。

またヒールダウン奏法は一般的に大音量でプレイすることには向いていないと言われていますが、トーマス・ラングやジョン・ロビンソンなどはヒールダウン奏法にも関わらず爆音でプレイします。鍛えればヒール・アップに負けないほどの音量を出すことも可能です。


■練習の際の注意点
ヒールダウン奏法を練習する際、通常のイスの座り位置ですとスネの筋肉は疲労しやすいのでいつもより少しイスをバスドラムより離して座ってスネに極端に負荷がかからないようにしましょう(図を参考にしてください)。

 

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スネの筋肉を鍛えるためには確かに筋肉を疲労させることは大切なのですが、ヒールダウン奏法のメインの目的はあくまで「足首の感覚やリバウンドの感覚を習得すること」であり、筋肉を鍛えるのは副次的なもの(オマケ)です。

筋肉があまりに早く疲労し過ぎると肝心のメイン練習が出来ませんので、スネの筋肉がすぐに疲労で動かなくならないようなセッティングで練習してください。

 

(注)「バスドラムを鳴らす時にスネの筋肉を使うのは間違い」という先生もいます。私はある程度はスネの筋肉を使う派なのでスネの筋肉を鍛えることは重要だと思っています。


メリットが非常に多いヒールダウン奏法の練習、いかがでしたか。

足のテクニックで悩んでいる人は是非練習に取り入れてみて下さい。

細かいやり方やコツなどはレッスンで解説します。


では頑張って^^