ドライに対応する
ライブで機材トラブルがあったり、不測の事態が起こった時についイライラしたりハラハラしたりすることがあるかも知れません。
ですが私はそういう場合でも極力感情を抑えてドライに対応するようにしています。感情的になっても問題は何一つ解決しないからです。
まずはトラブルが起きないように対処できる部分は事前に対処しておくことが基本中の基本です。
演奏前の機材の点検、セッティングの見直し、ネジの緩みなどのチェック、電源ケーブルが抜けそうでないかなど。
自分の管理できる範囲内のことは一通り目を配ります。
けれどそれでも起きるのがトラブルというものです。
以前コンサートのリハの最中に会館の主電源が落ちたことがありました。こんなもの我々ミュージシャンには対処しようがありませんからね(笑)。
とにかくトラブルが起きないように最大限準備はするけれど、もし起きたら起きた時に素早く適切な対応をする。それしかありません。
一番大事なのは「原因を素早く切り分けること」。これによって何をすべきかがが決まってきます。
原因が分かれば、それに対する対処・対応が決まってきます。また解決までのおおよその時間も見積もることが出来ます。
軽いトラブルならMCの間に周囲に気付かれずに修正出来るかも知れません。けれど結構ヘビーなトラブルなら一度ライブを中断してトラブル解決のためにしっかりと時間をもらった方が良い場合もあります。そういう時はボーカリストのMCの力量が試されますね(笑)。
ただこの「切り分け」は経験がものを言うので経験の浅い若手ミュージシャンのみなさんには簡単にはいかないと思います。今余裕で演奏をしているベテランミュージシャンの人達もみな若い頃はトラブルで「うわ~、やべ~!」とか言いながら経験を積んでいったので、若い人達はトラブルに遭ったら「これも経験だ」と割り切って慌てずに対処しましょう。
またどうしてもその場では解決できないトラブルもあります。その場合は代替案で対応する臨機応変さも必要です。「ベストではないけれど最悪これでもなんとかなる」という状況が作れればライブ一本くらいであれば乗り切れます。
そしてライブ後にあらためてきちんと対処すればいいのです。
「なんでこんな時に限って...」と思わず悪態をつきたくなるかもしれませんが、トラブルの真っ最中にそれを言っても何も解決しません。
トラブルというのはこちらが準備万端な状態ではやってこないからトラブルなのです。
トラブルには出来るだけ遭わないことが望ましいですが、トラブルのおかげで自分の経験値が上がることも事実です。自分が今鍛えられているんだと思って前向きに捉えましょう。
ちなみにベテランになるとトラブルすら「これもライブの醍醐味だよ」と楽しめるようになります。
私はまだそこまでいきませんが、そんな境地になってみたいものです。