2度の奇跡(1)
『私が経験したトラブル及びミス』でこれまで経験したトラブルやミスを列挙してきました。
ミスはあってはならないのですが人間ですからどうしてもミスはおかします。
中には笑って済ませられるものから、今思い出しても冷や汗もののミスもあります。
ただ、そのミスが帳消しになるような奇跡が起こることもあります。
過去に2度ほど「これは奇跡では?」ということがありましたのでご紹介します。
▪️奇跡1「カウントのミスがまさかの帳消し?」
某ライブの現場でのできごと。
何人もの歌手の方が入れ替わり立ち替わり出演するイベントです。
その現場は全曲同期ありだったので私はクリックを聞いてドラムを演奏していました。
※ドラマーがカウントをするためにプリカウントとしてクリックが2小節分鳴るようになっていて、1小節(4拍)聞いて2小節目(次の4拍)のクリックに合わせてカウントを入れるというのがお約束です。
ライブも佳境に入り、超有名アニソン歌手の方の出番になりました。
で、いざ曲が始まる時のこと。
いつも通り私のイヤホンの中にクリックが鳴り始め、さあカウントを入れようと思ったその時です。
いきなりその歌手の方が「それじゃ、次の曲いくぜ〜」とものすごい声量で叫んだのです。
それはそれはものすごい声量でした。
そのためイヤホンの中に声が響き渡り一瞬クリックがかき消されてしまったのです。
焦った私はなんと1拍早くカウントを打ち始めてしまいました。
※クリックを4回聞いてからカウントを入れるところを3回聞いてカウントを入れてしまいました
当然オケと1拍ズレた状態で演奏が始まります。
イントロの段階では他のメンバーは演奏に集中しているのでオケとのズレにはまだ気づいていません。けれど私はイヤホンで音をモニターしているのでズレていることが丸わかり。
この時点で「やっちまったー」と焦りまくりです。
どうやってリカバリーするか、そればかり考えていました。
リカバリー案1.
マニピュレーターに合図を送ってコンピュータを止めてもらう。あとは生演奏だけで最後まで演奏する。
オケ無しになるので本来鳴るべき音やコーラスなどが鳴らずスカスカの演奏になる。
リカバリー案2.
ちょっとずつ演奏を遅らせて1拍分のズレを調整するまでなんとか頑張る。その後は本来のテンポに戻しなにごともなかったかのように最後まで演奏する。
イントロから1番のAメロくらいまではオケとズレているので不自然な演奏をお客さんに届けることになる。演奏者も演奏していて気持ち悪いだろうし歌手の方も歌いにくいはず。
リカバリー案3.
潔く演奏を止め、再度仕切り直して演奏をやり直す。
曲は本来の形で届けることができるが、歌手の方、お客さん、メンバー、照明、音響の皆様など各方面に多大な迷惑をかけることになる。場合によっちゃクビ。
演奏しながらこんなことを考えて焦りまくっていた、まさにその時奇跡は起きたのです。
ボーカルのマイクに急にガーッというとてつもないノイズの嵐が!
電波の混信なのかわかりませんがとにかく歌を歌える状態ではないレベルの酷いノイズが乗ってしまったのです。
あまりにノイズが酷かっただめ歌手の方が「ちょっと演奏止めて〜」みたいな合図を出して演奏は一時ストップ。
この時会場のみなさんは一様に「え?何?どうしたの?何が起きたの?」という感じでしたが、唯一私だけは
まじかぁ〜。
助かったぁ〜。
と安堵しておりました。
マイクを交換し歌手の方が再度会場を盛り上げて仕切り直し。
今度はきっちりとクリック通りにカウントを入れて、演奏は問題なく終わりました。
いや〜、今思い出しても冷や汗が出ます。
あのノイズは一体なんだったのか今でも謎ですが、あの時ほどトラブルに感謝したことはありません(笑)
音楽の神様、ありがとう^^