「クリックに合わせる」の誤解1
リズムキープ能力の強化のためにクリック(メトロノーム)に合わせて練習を行うことはドラマーにとっては欠かせません。
ただこの「クリックに合わせる」という言葉を誤解している人が実に多いのです。(以前の私です(笑))
そういう人は気を付けないとリズム強化どころか主体的なリズムを刻めないクリック依存症とも言うべき残念なドラマーになってしまう恐れがあります。
■「クリックに合う」ためのアプローチ
「クリックに合わせる」というと「クリックの出す正解なタイミングに自分の出す音をを合わせる」つまり「クリックの音と自分が叩くドラムの音がピタッと揃うように叩く」という認識だと思います。
それ自体は別に問題はありませんが、大切なのは「クリックに合わせるためにどういうアプローチを取るか」です。
クリックと自分の出す音がピタッと揃うために大事なことはなんでしょうか。
クリックの音だけにひたすら集中して気合で合わせる?(笑)
そのやり方だと何発かは合うでしょうが長時間合わせ続けることは難しいでしょう。
私が通常「もぐら叩き」と呼んでいるやり方で、これはNGです。
クリックに合わせようとしたら、実は大切なのはクリックの音そのものではなく音と音の間(ま)です。
その間(ま)がどれくらいの長さかを確認出来れば、おのずと次のクリックが鳴るタイミングが計れます。
だいたいクリックを3~4回鳴らせば「ああ、テンポはこれくらいだな」ということが分かります。
したがって我々にとって大切なのはクリックとクリックの間(あいだ)の部分をいかに正確に感じることが出来るか、です。
正確なテンポを感じられれば正確なプレイが出来、自ずと拍の頭(クリックが鳴るタイミング)のところの音もピタッと揃うようになります。
クリックの鳴る音に合わせるように歯を食いしばって懸命にプレイをするのではなく、むしろクリックが鳴っていない部分をもっと強く意識して正確にプレイをし、その結果クリックに合ってしまうという状態に持っていければいいわけです。
そのためにはクリックに合わせるという直接的な作業に時間をかけるのではなく、クリックとクリックの隙間の部分をいかに正確に叩けるようになるか、を鍛えるような練習が非常に有効です。
一つの例をご紹介します。
■アタマ抜き練習
普通のオルタネート(交互打ち)のシングルストロークの練習で考えてみましょう。
クリックは4分で鳴らしながらRLRLという16分音符を叩きます。
その際に1打目のRをお休みにして(R)LRLという風に叩きます。
(※)(R)のところはゴーストモーションだけ
1打目を打ってしまうとクリックと合った(ズレた)という部分にばかり気持ちが向いてしまうので、クリックと同じタイミングの1打目をあえて空振りすることで、残りの3打に意識を向かわせることが出来ます。
これは菅沼孝三さんの教則ビデオでやっていた練習からヒントを得たもので「リズム強化に使える!」と思ったのでご紹介しました。
これが正確に出来るようになるとクリックとクリックの間(ま)を正確に感じ、正確にプレイするという感覚が身に付くと思います。
(つづく)