「クリックに合わせる」の誤解3
クリックに従属的に合わせに行くプレイは音楽的な演奏とは言えず単なる「作業」です。そうならないためのクリックとの上手い付き合い方を構築するアプローチを二つご紹介します。
①クリックの捉え方を変える
クリックを「テンポのガイドとして鳴っている単なる音」として捉えるのではなく、楽曲の一部として捉え「クリックと共演する気持ちで叩く」という方法があります。
「ものすごくタイム感の正確なパーカッショニストが4分音符のカウベルを鳴らしてくれていて、その人と共演しているのだ」
と考えて、クリックに(従属的な意味で)合わせるのではなく「一緒にリズムを作っていく」という感覚でドラムを叩ければ、そのプレイはとても音楽的なものになるでしょう。
なおこの方法の応用例として「クリックを音楽的なパターンで打ち込み直す」というのがあります。
これはデニス・チェンバースがやっている方法なのですが、彼は4分打ちクリックに合わせて叩くのが苦手なんです。そこでドラムマシンでリズミカルなパターンを打ち込んでそれに合わせて演奏するという手法を取っています。
このやり方だと「共演する」という感覚を感じ取りやすくなると思います。
毎回レコーディングのたびにクリック用にリズミカルなパターンを打ち込むのは時間がかかりますが、それでドラマーが気持ちよく演奏出来れば結果的にレコーディングが早く終わったりしますので、もしドラマーがこのやり方が一番演奏しやすいというのであれば周りの人は是非理解してあげて欲しいです。
(つづく)