好きなドラマー(21) ~Virgil Donati~
ここから何人かは変態系(笑)が続きます。
変態系の第一人者といえば間違いなくこの人でしょう。
Virgil Donati(ヴァージル・ドナティ)
初めて彼の演奏を見たのは教則ビデオでしたね。どんな人なのかなぁと半信半疑で見始めたのですが、開始1分でノックアウトされました。
その後はもうず〜っとファンです。
※本当なら彼の代名詞である「Alien Hip Hop」を紹介したかったのですが、よい素材が見当たりませんでした。カバーばっかりで。
おそらくこういう系統の音楽に興味がない人からすれば「はぁ?一体これのどこがいいの?」という感じかも知れませんが、もうワタクシこういったジャンルに目がないもので、もうこういうのを聴きながらご飯何杯でもいけます(笑)。
グリップはレギュラーグリップです。数多くのドラマーがレギュラーグリップを捨てマッチドに乗り換えるという不義理を見せる中(笑)、ヴァージルは頑なにレギュラーにこだわり続けています。
彼いわく今となってはマッチドグリップよりもレギュラーの方が速く動くそうなんで変える意味もないんでしょうね。
一般的にはレギュラーグリップの方が音量面や移動に関してマッチドより不利と言われますが、ヴァージルのドラミングを見ているとそういう固定観念がまったくあてにならないと思い知らされます。っていうかこんだけ超高速で移動をキメながらぶっ叩く人マッチドでもそういないよ(笑)。
フォームは今流行りのモーラー系の柔らかい動きとは真逆のガッチガチのマッチョスタイル。若い頃にマーチングバンド系のテクニックをいやというほど練習したんでしょうね。スティックの先端から動くことが多いです。ものすごい高度なスティックトリックを惜しげもなく見せてくれます。
プレイスタイル的には練習を死ぬほど重ねて積み上げたドラム界の最高峰レベルの難易度を誇るドラミングといって差し支えないでしょう。ストロークの速さ、複雑さ、移動の厳しさ、手足のコンビネーションの緻密さをヴァージル以上に高次元で融合させている人は現時点では世界中探してもいないと思います。(並ぶ人はいると思うけれど)
気持ちよさとかよりも(決してグルーヴが無いわけではないが)、音楽をどこまで突き詰めていけるかという研究や実験に臨む科学者のようなスタンスでドラミングと向き合っているヴァージルがこの上なく好きです。
彼の大きなウリの一つが足のダブルストローク連打です。BPM200で延々ダブルを踏み続ける曲などもあり、このプレイは彼の代名詞ともなっています。今でこそ彼よりもさらに高速でダブルを踏むプレイヤーも現れつつありますが、彼はその先駆けと言えるでしょう。
あとですね、さらに彼がすごいのは彼は作曲者でもあるという点です。ヴァージルは作曲も正式に習っていて、名曲を数多く残しています。
彼のようにドラムプレイがあまりにも進化してしまった結果、そのスキルを活かす楽曲がこの世に存在しないというジレンマが生まれますが、ヴァージルは自分の良さを活かす楽曲を自作できるのである意味無敵ですね。
雲の上の存在ですが1mmくらいは近づきたいといつも頑張っています。(どんどん距離を引き離されている気もするけど^^)
最後にライブ映像を。音は良くないけれどヴァージルのすごさは伝わると思います。