譜面の話 ~オマケ~
高校生の時に銀座のヤマハにドラムの教則本を買いに行きました。
※アメリカの教則本なんて当時は普通の本屋さんでは売ってなかったのでわざわざ銀座まで買いに行ったんですよ。今ならAmazonでクリック一つで買えますからね。良い時代になりました。
すごく嬉しくて早く読みたかったもので家に帰るまで待ち切れず日比谷のマクドナルドに入ってそこで読むことにしました。
お店は結構混んでいて相席になりました。で、さっそく本を広げて辞書を引きながら「ふむふむ」と読んでいたら、向かいの席の人が声をかけてきました。
「ドラムをやっているんですか?」
「あ、はい...」
「実は僕はビッグバンドのボーヤをやっているんですけど」
「はぁ」
「実は今日これから今帝国ホテルでダンスパーティーがあるので見に来ませんか」
「ええっ?!」
高校生だったtaikomochi少年は突然のオファーにビックリしまくり。その日は微熱があって体がダルかったんですが、すぐさまその申し出に飛びつきました。
初めて入る帝国ホテルの部屋。ドキドキしたのを覚えています。入るとバンドメンバーの方達が休憩中でリラックスして談笑していました。
※バンドは確かゲイスターズだったと思います。当時ドリフのバックとかやっていたんじゃないかな。
そのボーヤの方にドラムの「阿野次男さん」を紹介してもらいました。
当時パールが発行していた小冊子みたいなものが楽器屋に置いてあって私はそれをいつも読んでいたのですが、たまたま少し前の号に阿野さんのことが載っていて「バディ・リッチからシンバルをもらった」みたいなことが書いてあったのでそれを伝えたら「よく覚えてるねー」と言われました。
そして楽屋でいろいろとお話をさせてもらってスティックの握り方とかものすごくリラックスして叩くんだということとかを教わりました。
時間が来て本番になるとメンバーのみなさんはステージに行ってしまい私は楽屋に一人ポツンと取り残されたまま。本番は結局見ることは出来ませんでした。
でもステージから戻ってくると阿野さんがまたいろいろと話してくれて楽しい時間をすごすことが出来たのでそれでも十分満足でしたけど。
で、ここからが本題。(前フリ長っ!(笑))
一度休憩中にステージに行かせてもらったんです。そしてその時に阿野さんの譜面を見て唖然としました。
真っ白(笑)。
曲のタイトルと全体の構成が分かる記号とコードネームしか書いてません。キメくらいは書いてあったかなぁ。
当時ドラム譜といえば市販のびっしり音符が書いてある譜面を見慣れていたので阿野さんの真っ白譜面は本当に衝撃でした。そしてなぜそんな真っ白な譜面で演奏が出来るのかが不思議でしょうがなかったです。
音楽のジャンルはジャズですから基本的なドラムパターンはSWINGに決まっていますし、阿野さんにとってはお馴染みのナンバーばかりなのでドラムパターンを書く必要もない。だから真っ白でOK。
今だからそのことが理解出来ますが、当時は本当に驚いたなぁ。
そして時が流れて...
今私は真っ白譜面で演奏しています。(一応最低限のパターンやフレーズは書き込みしますが)
自分も成長したなぁと感じる今日この頃です。