好きなドラマー(5) ~東原力哉(NANIWA EXPRESS他)~
■好きになったきっかけ
高校生の時カシオペアにどっぷりつかっていたが、他のフュージョンバンド実はちょこちょこチェックしたりはしていた。(スクエアとかプレイヤーズとかネイティブ・サンとか)
ある日NANIWA EXPRESSという関西のバンドがあるらしいと知り、聴いてみた。どうやって音源を入手したのか最初に聴いた曲がなんだったかも覚えていないけれど、とにかく1曲聴いただけで「なんじゃ、こりゃ~!」という衝撃を受けたことは覚えている。
カシオペアが非常に洗練された上品な音楽性であるのに対し、NANIWAはもう下品で下品で土足でドカドカ踏み込んでくる感じ(笑)。
しかしその圧倒的なエネルギーにノックアウトされてすぐにファンになってしまった。
■プレイ分析 ~グルーヴ編~
力哉さんはゴーストをまじえた16分音符でパターンを作るのが上手くて、同じパターンを叩いても似たニュアンスを出すのが結構大変。
4Wayの独立が高いレベルで求められ、スピードも、ダイナミクスも必要とされるのでドラマーにとってはチャレンジのしがいがあるパターンが多い。
また曲中でもバスドラムの高速連打をところかまわず入れてくるので、そこは全然コピー出来なかったなぁ。
■プレイ分析 ~フレーズ編~
基本的にトニー・ウィリアムスがそのまま日本人になったと思えばOK(笑)。
音色とかニュアンスがモロに似ていて、ここまで似ているとマネというレベルではなく「分身」と呼べるくらいの感じなので逆にすごい。
特徴的なフレーズはやはり高速バスドラ連打と手足の高速オルタネートフレーズ。
片足でこれでもかというくらい踏みまくる。当時はあそこまで足技を前面に出すプレイヤーは日本にはほとんどいなかったので(今もいないけど)音を聞けば一発で力哉さんだと分かってしまうほどに強烈だった。
あと16分音符の3つ割りフレーズのアタマをフラムにするヤツもよくやる。
「rL・R・L」という手順のヤツね。
※小文字の「r」は前打音(装飾音符)
これでスネア、タムへと高速で移動してフィルなどで使用する。
■プレイ分析 ~セッティング編~
こちらもトニー・ウィリアムスそのまんま(笑)。ドデカいタム2発に24インチのバスドラムにフロアタム3発というメタルドラマーも真っ青のセッティング。CSヘッドの独特なサウンドと相まって音色だけでもすぐに誰が叩いているか分かってしまうという個性はすごい。
多分力哉さん以外が叩くと単なる「変な音」になってしまうように思う。あの音色を音楽的にプレイ出来るのは叩き込んでいる力哉さんかトニー・ウィリアムスだけだろう。
ちなみにスティックは逆さに持っていてチップの本当に先端の方をレギュラーグリップでホールドしている。これやってみてください。メチャクチャ手が痛いから。それに全然リバウンドが無いのでプレイするのが超しんどいです。その代わりぶっとい音がしますけどね。
こんな持ち方であれだけの細かいプレイを繰り出すのだからいかに練習の鬼であったかが分かるというもの。
■最後に
初めて力哉さんのプレイを聴いた時に「こんなすげードラマーが日本にいるんだ...」とワクワクした。とにかく型破りで荒々しくて個性的で聴いた瞬間に「力哉さん」と分かるドラム。
プロとはこうあるべきだと感じさせる存在。自分とはプレイスタイルは全く異なるけれどすごい尊敬しています。