こだわりと予算
「CDは売れない」件とちょっと関連したことを書きます。
アーティストやミュージシャンというのはこだわりの生き物です。
「予算が無い」とどれだけ言われても最低限キープしなければ耐えられないクオリティというものがあります。「どれだけクオリティを落としてもいいから予算内で作ってくれ」と言われたら、その人はその仕事は引き受けないでしょう。(もしくはかなり割り切って魂を捨てて作るかwww)
「そんなものは作り手側のエゴだ」
「聴いてる人はそんな細かいところまで分からないんだからいいんだ」
と言う人もいますが、それでも我々音楽を生み出す人間にはどうしても譲れない一線があります。
そこを妥協してしまったらもうそれは自分の音、作品では無くなってしまうのです。我々が音楽家として生きている意味が無くなってしまうのです。
もちろん仕事と割り切って低予算で相手の求めるクオリティでサクッと曲を作る職人さんを否定はしません。時代が求めているのですから、当然そういう人達も必要だと思います。
ただ我々が聴く音楽がそうやって作られる音楽ばかりになったらやっぱりそれはリスナーにとっても音楽業界全体にとっても不幸だと思うんです。
音楽が多様性を失ったら本当につまらない世の中になると思いますよ。
繰り返しますが予算をかければいい音楽が出来るというものではありません。ですが、予算をしっかりとかけなければ作れない音楽があることも事実です。クラシックなんかはまさにそうですよね。
そういう音楽をお金の面だけを見て切り捨てることはしてはいけないと思います。
とは言えお金は天から降ってくるわけではありませんから、我々ミュージシャンの側もこれまでの慣習にとらわれず新しい収益の形を積極的に模索していかなければいけないとは思いますけどね。
私は正直、不安とワクワクが半分半分です。これまで自分達がやってきたやり方が通用しなくなる一方で、これまで考えもしなかったような新しいやり方でお金を生み出せる可能性がある。
一体これからはどうなるんでしょうね。
■追記
ピコ太郎のPPAPの世界的大ブレイクなどは90年台にはむしろまったく考えられなかったできごとです。売れなくなるものだけでなく新しい動きも必ず出てきます。