良いドラマーになるためのブログ

【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

難しいお年頃

カミさんから聞いたのだが「娘がピアノを辞める」と言っているらしい。

ついにこの日が来たか、という感じだ。


幼少期からエレクトーン、ピアノと続けさせてきたものの、ここ2〜3年は彼女自身楽器に対する興味はかなり薄れていて「やらされている感」があからさまに感じられていたので辞めるのは時間の問題ではあった。


出来ればもう少し続けてもらいたい気持ちもあるが、自分自身ピアノの練習が大嫌いで中学2年の時に発表会で大ミスをやらかして辞めた身だ。彼女の気持ちも分からないでもない。残念だが仕方ない。ただ、本音の部分ではどうなのかを確かめたくて娘に直接聞いてみた。


すると


中学に入ったらいろいろと忙しくなるからヤマハに行く時間があんまり取れないと思って…」


みたいなその場しのぎのしょーもないごまかしをする。


お前は週一回45分程度の授業と毎日30分の練習も出来ないほどハードな分刻みのスケジュールで動くのか(笑)。


嫌になった
飽きた
興味を失った
めんどくさくなった


別に本音で言えばいい。怒らないから。いや、多少は小言は言うかもしれんが^^


まぁ、辞めるなら辞めるでいい。ただ中学に上がったら絶対に部活には入ってもらう。帰宅部だけは絶対に許さん。俺は若い人間がダラダラ時間を過ごしているのが一番嫌なのだ。


中学では何をやるのか聞いてみた。


ブラスバンドをやっているからそのまま吹奏楽部に入るのかと思いきや「入らない」という。理由を尋ねると


「運動部系の部活に入った方がいいかな、と思って」


みたいなことを言う。


これはカミさんが以前から「私は出来れば運動をやって欲しいんだけどな」と言っているのを覚えていて、それに合わせているだけだ。本当に運動部に入りたいのかは怪しい。


じゃあ運動部だったら何部に入るのかと尋ねると


「う〜ん、卓球部かな…」


みたいなはっきりしない答え。なぜ卓球なのか。バレーボールでもバスケでもバドミントンでも陸上でもなく、なぜ卓球を選ぶのか。卓球が好きだなどとこれまで一度も聞いたことが無い。


ちなみに娘が進学する確率の高い地元のK中学の卓球部は現在全国大会の常連であり、とてつもなく高いレベルにある部である。私自身K中卓球部出身で当時は今よりもずっとレベルは低かったが(都大会進出がやっと)、それでも運動部の中ではかなり厳しい練習をしている部だった。


現在は当時とは比べ物にならないくらい激しい練習をやっていることだろう。それこそ朝から晩まで卓球漬けになるくらいのハードな練習を求められるはずだ。ピアノの練習どころの話ではない。


入部したところでレギュラーメンバーになれずずっと補欠で球拾いという可能性も十分あり得る。いや運動神経のあまりよろしくない娘ならかなり高い確率でそうなる気がする。それでも「どうしても卓球部に入りたい」と言うのであれば心から応援するのだが「なんとなくそう言ってみた」感がハンパないのだ。


卓球もいいけど、せっかくブラスバンドでサックスをやっていて、それなりに吹けるのだから中学でも続けるという選択肢は無いのかと問うと


「卓球部と吹奏楽部、どっちがキツいかなぁ…」


みたいなことを言う。


そりゃ、肉体的には卓球部の方が確実にキツいだろうと言うと


「じゃ、やっぱり吹奏楽部にしようかな…」


みたいなことを言う。


正直この受け答えにはイラッとするがグッと言葉を飲み込む(笑)


なんだその後ろ向きな選び方は。こんな若いうちから「どっちがより楽か」で物事を選ぶのか。お前の本心はどこにあるのだ。現時点で興味のあることややりたいことはないのか。


そこらあたりをもう少し辛抱強く聞き出すと


「演劇部に入りたい」


と言う。


確かに今娘は宝塚にとても興味があって舞台の上で歌ったり、踊ったり、いろいろな役を演じることに興味があるようだ。以前から演劇部に入ってみたいと言っていたしこれは彼女の本心だと思う。いいじゃないか、演劇部。結構向いていると思うぞ。


でも


「S中学校に行けるなら演劇部に入るけど、もし抽選に漏れてK中学校になったら演劇部の人数が少ないので演劇部には入らない」


とか言う。


なんだその「人数が少ないと入らない」ってのは。好きでやりたいんだったら部の大きい小さいなんて関係なくやればいいじゃないか。その程度のことで断念する「好き」とはなんなのだ。


・・・


娘は親の言うことを良く聞く良い子ではあるが、大人が望むような答えを(意識してか無意識のうちにか)先回りして答えるようなところがある。別にそこまで厳しくしつけた覚えはないのだが、そういう思考になってしまったということは我々親にも原因が少なからずあるのだろう。


「心の底からやりたいと思えること」に中学時代に巡り合える人は、そう多くはいないと思う。自分がドラムという夢中になれるものに出会えたからといって、娘にも「そういうものを持て」と強制するのは酷だ。だから彼女が積極的に「これをやりたい」と言えないこと自体は別に責める気はない。


でも「なんとなく好き」「ちょっと興味があるかも…」くらいの気持ちはあるだろう。だから、それをとりあえずでもいいからやってみればいいと思うのだが、そういうものすらも出てこないのでとても不思議な、そしてちょっと苛立たしい気持ちになってくる。


いかんいかん。


きっと自分を基準にして、自分と比較して考えてしまうからこういう感情が湧くのだろう。彼女は自分とは全くの別人で別の価値観で物事を考えているのだから比べるのは良くない。それは分かってる。


ただ若者が若い時期にしか出せない根拠の無いエネルギーやパワーってあるじゃないですか。そういうものをもっと感じさせて欲しいんだけどなぁ。


ま、今は焦らず待つことにします。いずれにしろ時期がくればどこかの部活には入ることになるのだから。そこで何かに目覚めるかも知れないしね。


とにかく親の顔色うかがってそれに合わせるような答えは出さなくていい。

そして頼むから「どっちが楽か」「どっちがキツくないか」みたいなくたびれたオッサンのような選び方はしないで欲しいんだな。


今も、そしてこれからも。