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【プロドラマー・ドラム講師たいこもちのブログ ドラムネタは意外と少ないかも】

絢香という歌い手

ウォーキングの最中はiPhoneに入っている音楽をずっとシャッフルで聴いています。いろいろな歌い手さんが素敵な歌声を聴かせてくれるわけですが、絢香という歌手には今更ながらなかなか唸らされるものがありました。


元々彼女は歌唱力には定評があり、歌が上手いのはまぁ周知の事実なのですが、彼女の歌い回しについてじっくり聴き込んでみると非常に興味深い点に気付きました。


彼女はとても洋楽っぽく歌うんですね。言葉のダイナミクスの付け方が本当に洋楽っぽい。


「洋楽っぽい」という部分が抽象的で分かりにくいと思うのでもう少し解説します。


ご存じのとおり日本語というのは多少イントネーションは付けますが結構均等に一文字一文字発音する言語です。だから日本語のラップがよくお経や川柳みたいになってしまう(※)のは元々持っている言葉の特性によるものでしょう。


※別にそれが悪いとは思いません。それをJapanese Rapとして堂々とやってしまえばそれはそれでカッコいいと思います。


一方英語は単語や文章におけるアクセント部分とノーアクセントの部分の音量差が10:1くらいあり、日本人にとってはかなりデコボコに聞こえます。(そのせいで日本人がヒアリングで苦労するわけなんですが)話す時も自然と強弱が付くのでリズミカルになるのが特徴です。


ここで、絢香に話が戻るわけなんですが…


彼女はおそらくかなり海外のアーティストが好きで良く研究しているためか、歌い方が非常に洋楽チックなんですね。


で、普通は洋楽の歌い方をそのまま日本語の歌詞に持ち込むと…


失敗します(笑)。


ただの歌詞が聞き取りにくいだけの聞き苦しい歌になります。


絢香の場合は(ここが彼女の非凡なところなんですが)洋楽っぽくかなり広いダイナミクス(音量差)を付けて歌っているにも関わらず、しっかりと日本語の歌詞が聞こえてくるんですね。


これはすごいと思いました。


それに加えて彼女の歌い回しの表現力の引き出しの多さにも本当に感心させられました。同じフレーズでも場面場面で

しっかり歌ったり
抜いて歌ったり
裏声使ったり
地声でパワフルに歌ったり

表現力のダイナミクスが本当に広い。海外の歌姫たちはまさにこんな歌い方をするんですが、これを10代後半ですでにやってたってのはまぎれもなく天才なぁと思いました。


歩きながらではありますが音楽をじっくり聴いているといろいろな発見があって面白いです。


■追記
日本人歌手の歌い方が悪いと言っているのではないので念のため。日本語を日本語らしくしっかり歌い上げる歌手の方は大好きです、ワタクシ。ただ、絢香の場合は洋楽のように歌っているのにちゃんと日本人の歌う日本語の歌として昇華されていて、なおかつそれがメジャーで売れていて、多くのファンに支持されているところがすごいなぁと思ったしだいです。