ダイナミクス
音量コントロールについて書いたのでダイナミクスについても少々。
自分のドラムプレイにおいて出せる最大音量と最小音量の差(ダイナミクス)は幅広い方がいいです。最弱音と最強音の幅が広ければそれだけ表現の幅も広がりダイナミックな演奏が可能となります。
とは言えそのダイナミクスをいつでもどこでも付ければいいってものではありません。
例えば知り合いのアレンジャーは「スネアで歌わないで」と言います。これはどういう意味かというと
スネアは常に安定した音量でバックビートを打ってほしい
そこに余計な音量差(Aメロは小さ目、サビで大き目)みたいなものは持ち込まないで欲しい(もちろんゴーストノートとかは別)
ということです。
そのアレンジャーは曲全体でダイナミクスを考えていて、他の楽器でダイナミクスを付けるからドラムはそこに加わらず安定したビートを刻んでいてくれればいいですよ、と言っているわけです。
一方、ジャズのようなジャンルは自分の持てるダイナミクスをフルレンジ使った表現力豊かな演奏が求められます。常に安定したスネアの音量のジャズドラムなんて叩いたら次から誰も呼んでくれなくなるでしょう(笑)。
バラード曲などはドラムも大きくダイナミクスを付けた方が楽曲とのマッチングはいいでしょう。けれどメタルバンドのバラードだったらずっとフォルテシモで叩き続けるアプローチがピッタリくるかも知れません。
要するに「ドラマーはダイナミクス豊かに叩くべし」みたいな雑誌の記事を鵜呑みにせずにTPO(ダイナミクスの使いどころ)をわきまえて叩きましょう、ということです。
ダイナミクスは絶対に付けなければならないものではないし、必ずしも自分の持っているダイナミクスの幅をフルレンジ使い切らなければいけないわけではありません。
大事なのはその曲やジャンルに合った表現をしているか、制作者(アレンジャー、プロデューサー等)の意図に合ったプレイをしているか、ということです。
ちなみに私は抑制のきいた淡々としたドラムプレイが結構好きです。ダイナミクスの幅は結構あるけれどあえてそのレンジの真ん中辺で抑えたプレイをすることに美学を感じたりします。
ただまぁその反動で時々メチャクチャ曲をぶっ壊したくなる衝動にも駆られますが^^