練習と本番
よく本番前に
練習の成果を見せます!
という人がいます。
確かに本番で良い演奏をするために我々は必死に練習をするのですが、練習と本番って実は全くの別物で、
練習でやったことを本番でただ再現すればOK
というものではありません。
もっとも大きな違いは意識の部分です。練習時の意識のまま本番に臨むのはNGです。
練習は基本的に自分が苦手とする部分、良くない部分を修正し、自分のプレイを改善する作業です。
そのために練習中は自分のフォーム、出す音など自分自身のプレイに対して細かい部分まで意識を集中させて自らがチェックの鬼にならなければなりません。
そうやって常に意識して意識して丁寧に体に定着させ、最終的に無意識状態でやりたいことが出来るように持って行きます。
一方本番は音楽をオーディエンスに向かって届ける作業とでもいいましょうか。
だから自分自身のプレイに集中してしまうような内向きの意識はむしろ捨てなければダメです。
今自分が演奏している音楽そのもの(他のメンバーの出す音や会場のオーディエンスから受けるパワーなど)に全ての意識を集中しなければいけないのが本番時です。
本番の時にもし自分の技術的な部分にフッと意識が行ってしまったら、その時点でダメな演奏ということになります。
この意識の切り替えは非常に重要なのですが、私は本当にこれが苦手で(いやマジで)、よく本番時に練習の時の意識を持ち込んでしまって後で反省するということが多かったです。
練習時は自分のプレイに高い集中力で意識を向ける。
本番時は音楽そのものに没頭する。
簡単そうで結構難しいです。
ブログでトラヴィス・バーカーの動画を紹介しましたが、彼はウォーミングアップや練習の際にパタパタやっている時はオーソドックスな綺麗なフォームで叩いていたりするんです。
ですが本番ではガッチガチの(に見える)お世辞にも美しいとは言えないフォームで全身でドラムを叩きます。
それって練習の意味あるの?
と感じるかも知れませんが、この切り替えがとても大事なんです。
練習では基本に忠実に。
本番では感情に忠実に。(おっ、我ながら名言だな、これは(笑))
それを分かりやすく実践してくれるトラヴィスは本当に良いお手本です。
余談ですが…
今年から自分のキャッチフレーズを「全身全霊」にしました。
もちろんトラヴィスの影響です。
真面目な話、年齢的に死を意識する年齢になってきました。
同世代のミュージシャンが急逝するニュースをたまに見かけます。自分にもいつ死が降りかかって来るかわかりません。
で、考えたんです。
自分がライブでドラムを叩いた直後に死んだとして、
気持ちよく成仏できるか
それとも
悔いを残して地縛霊になるか(笑)
ってね。(いたって真面目です^^)
死ぬ時に仲間に感謝しながら「ドラマーとして俺は幸せだった」と思いながら死ねるのか。
そんなふうに「悔いなく死ねるか」を考えると気を抜いてスティックを握れないんですよね。
だから練習はクソ真剣にやるし、リハーサルは本番と同じテンションで叩くし、本番は自分の全てをささげる気持ちで叩きます。
過去の自分は正直そこまでの覚悟を持って叩いていたとは言えません。けれど、そういう時期を経験しているからこそ、今とても充実している自分があるわけで。
自称:遅咲きの天才(笑)の私としてはこれから自分がどれだけ成長するかが本当に楽しみなのです。