ドラマーの味方 ~メトロノームとの付き合い方(2)~
■自立したリズムの形成
ただ「メトロノームに頼るな」と言われてもこれがなかなか難しい。
メトロノームに合わせてドラムの練習をしますがどうしても「合わせに行く」ドラムになりがちです。メトロノームと言う正解があって、そこに自分の出す音を「合わせにいく」ドラム。
この練習はメトロノームにきっちり合わせようとメトロノームの音に集中すればするほどその傾向が強くなります。まるで音楽のための練習というより「メトロノームの音という的に音を当てる作業」のようです。
メトロノームを使う練習の目的はあくまで「自分のリズム感の強化」、つまりメトロノームが無い状態でも安定したリズムを刻めるようになることです。
ですがあらかじめ用意された的に音を当てる作業をいくら積み上げても的に当てるスキルが上がるだけで肝心の「自分のリズム感の強化」にはあまり役立ちません。
ではどうしたらメトロノームに頼らない自立したリズムが刻めるようになるでしょうか。
■裏拍で鳴らす
一つ大変効果的でポピュラーな練習方法をご紹介しましょう。このやり方は数多くの一流ドラマーが推奨している練習方法で私自身もいまでも日々の基礎練習に取り入れています。
それは「メトロノームを裏(拍)で鳴らす」という方法です。
やり方は簡単。
「裏拍で鳴らす」と書きましたが実際はメトロノーム自体には何もせず通常通りに鳴らします。その代り拍の捉え方を表と裏でひっくり返すのです。
おそらく言葉で説明してもピンとこないと思いますが頑張って説明しますね。
普通はメトロノームの音が鳴るタイミングで「ワン・ツー・スリー・フォー」と数えると思います。そうではなくてメトロノームの音と音の間で「ワン・ツー・スリー・フォー」と数えるのです。
※詳しくは下図参照
そして自分が数える「ワン・ツー・スリー・フォー」の隙間にあたかもメトロノームの音が鳴っているような感覚で捉えられれば成功です。
ちょうどお餅つきで言うと杵でお餅をつく人(あなた)とお餅をひっくり返す人(クリック)のような関係です(笑)。
このようにカウントするとメトロノームの音そのものよりも音と音の間の無音部分を強く意識してカウントすることになります。その強い意識が自立したリズム(キープ)につながるわけです。
このカウント法に慣れてくるとクリック音に合わせに行くのではなく、自立した自分のタイム感の中でプレイすることが出来るようになりますので是非トライしてみてください。
ただし一つ問題があります。実はメトロノームの音を裏拍で取ることに慣れていないとなかなか表と裏をひっくり返せないんですね。
専門学校で教えていた時も学生たちはその部分で結構苦しんでいましした。
そこだけはなんとか頑張って出来るようにしてください。
やり方が分からなかったり、もっと詳しい解説が必要な人は是非レッスンを受けてください^^。