ドラマーの味方 ~メトロノームとの付き合い方(4)~
■パターンに決まりはない
さてレコーディングや打ち込み有りのライブの現場ではドラマーはメトロノーム(クリックと呼ばれることが多い)を聴きながら、それに合わせて演奏するのですが...
通常クリックは4分音符で鳴らすパターンを使います。(曲のテンポが遅い時は8分で鳴らしたりすることもありますが)
私はカウベルの音が好みなので4分音符で鳴るカウベルの音を聴きながら演奏するわけです。
ただこれって別に絶対的な決まりではないんですよ。
ドラマーが演奏しやすいようにクリックの音やパターンはどんどん変えてしまっていいんです。自分がやりにくい状況で我慢して演奏するなんてバカげています。出来る限りやりやすい状況を作るべきです。
だから4分音符で鳴るクリック音がやりにくいのであれば打ち込み担当の人に「こうして欲しい」と要望を出しましょう。
例えばデニス・チェンバースという超一流のスーパードラマーがいますが、彼は実は4分で鳴るクリックが大の苦手。
そこでどうしたか。
彼はドラムマシンでパターンを打ち込んでクリックを生き生きしたリズムパターンに変えてしまいました。そしてそのリズムパターンと一緒に共演するという手法でレコーディングをしてきたのです。
彼にとっては4分音符で鳴るクリックの音が音楽的でない無機質なものに感じられたのでしょう。「そんなものとは共演出来ない」という感覚だったのだと思います。
4分音符のクリックで素晴らしい演奏が出来る人は大勢いますが、もし4分音符のクリックだと気持ちよく演奏出来なくて、別のやり方だったら出来るのであれば迷わずやりやすい方を選びましょう。
最終的にクリックの音などは作品には残りません。あなたの叩いたドラムの音が残るのです。
やりにくい状況で苦しみながらやった演奏か、やりやすい状況で楽しくやった演奏か。
どちらを作品として残したいですか。
■クリック音にこだわる
私はクリック音はローランドのSC88のカウベルの音が好きなので、その音をサンプリングしてネットのストレージにアップしてあり、いつでもダウンロードして使えるようにしてあります。レコーディングの現場では「この音を使ってください」とお願いしています。
クリックの音色は気にしない人は気にしませんが私はすごく気にするのでこういった対応をしています。
ちょっと話はズレますが...
ライブの現場では曲が始まる前のプリカウントの部分には「ワン・ツー・スリー・フォー」という声をサンプリングして、その声をクリックと一緒に出してもらっています。
このプリカウントの部分は曲のきっかけとなる非常に重要な部分で(ここがズレたらその後が全部ズレてしまいますから)ドラマーさんによっていろいろと工夫しているはずです。
私は以前はプリカウントの部分にカウベルの音しか入れていなかったのですが、あるライブでボーカルの人が曲が始まる直前に「それじゃ次の曲行くぜ~!」みたいなシャウトをしたためにクリックが聞こえなくなってしまって、曲がズレて始まってしまったことがあります。
けれどその時はなんと奇跡的に機材トラブルが起きてその曲が中断するという幸運があったため、私のミスは帳消しになりましたが、もしそれがなかったらと思うとゾッとします。
それ以来プリカウントには声も一緒に鳴らして絶対に間違えて曲に入らないように対処しています。
※その声は友達のボーカルの女の子に入れてもらいました。やっぱり女性の声の方が気分がアガりますから^^